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【体験談】総合病院からクリニックへ転職して分かったメリット・デメリット

「総合病院の安定感は魅力だけど、もっと専門性を高めたい…」
「クリニックは楽そうだけど、給料やスキル面で不安がある…」

放射線技師としてキャリアを考える上で、「総合病院」と「クリニック」は、常に比較される大きな選択肢ですよね。しかし、ネット上の情報はあまりに一般的で、「実際のところ、働き方はどう違うの?」というリアルな部分が見えにくいのが現状です。

この記事では、結婚を機に、5年間勤務した総合病院からスポーツ整形外科クリニックへ転職した私、ギシコ自身のリアルな体験談として、それぞれの職場のメリットとデメリットを、忖度なく本音でお話しします。

この記事は、どちらが良い・悪いを決めつけるものではありません。
私の体験という一つの「ものさし」を通して、あなたが「自分らしい働き方」を見つけるためのヒントになれば、これほど嬉しいことはありません。

目次

私が転職を決意した理由 ― なぜ「総合病院」を辞めたのか?

転職を考えるきっかけは、人それぞれだと思います。「給与が低い」「人間関係が辛い」「仕事が忙しすぎる」…
多くの場合、こうした「現状への不満」が、転職への大きなエネルギーになりますよね。

しかし、私の場合は少し違いました。

当時の私は、人間関係にも、公務員としての給与にも、大変満足していました。
先輩や同僚は皆優しく、チームワークも抜群。正直、「このままここで働き続けられたら、どんなに幸せだろう」とさえ思っていました。

そんな私が、なぜ大好きだった総合病院を辞めることになったのか。その一番の理由は、「結婚」でした。

夫の職場との兼ね合いで、どうしても今の病院に通い続けることが物理的に難しくなってしまったのです。
それは、自分ではどうしようもない、「辞めざるを得ない」という状況でした。

最初は、ただただショックでした。
しかし、少し落ち着いて自分のキャリアを見つめ直した時、心の中に、もう一つの小さな本音が芽生えていることに気づいたのです。

ギシコ

「このままで、私の技術は本当に伸びるのだろうか?」

当時の職場は、比較的落ち着いていて働きやすい環境でした。しかしその反面、症例数も限られており、正直なところ、自分の技術的な成長に限界を感じていたのも事実でした。

「どうせ辞めなければならないのなら、この変化をチャンスに変えよう」
「新しい環境では、私が本当に好きで、もっと突き詰めたいと思っていたMRIのスキルを、徹底的に磨ける場所を選ぼう」

満足していた環境を手放す寂しさと、新しい挑戦への期待。この二つの気持ちを胸に、私は前向きな「決断」として、転職活動を始めることにしたのです。

ギシオ

「辞めざるを得ない」というネガティブな状況も、視点を変えれば「新しいキャリアを考える最高のきっかけ」になりました。もしあなたも同じような状況なら、それはチャンスかもしれません。

メリット編:総合病院からクリニックへ転職して「良かった」こと5

総合病院で働く友人からは、今でもよくこう言われます。

友人技師

「クリニックって、毎日同じことの繰り返しで飽きない?」
「給料も安いんでしょ?やっぱり、大きな病院の方が安定してるよ」

確かに、外から見ればそう見えるかもしれません。
しかし、実際に総合病院という「安定」した船から、クリニックという「専門」の船に乗り換えた私だからこそ、見えてきた景色があります。

それは、求人票の文字だけを眺めているだけでは決して分からない、働きがいや日々の喜びです。ここでは、私が心から「勇気を出して、転職して良かった!」と感じたことを5つ、ご紹介します。

① 専門性を、とことん深められた

総合病院時代は、様々なモダリティをローテーションで担当するジェネラリストでした。それはそれで多くの学びがありましたが、心のどこかで「もっと深く、一つのことを突き詰めたい」という想いがありました。特に、私が心から面白いと感じていたMRIの分野です。

クリニックに転職してからは、文字通り毎日がMRI漬けの日々です。
スポーツ整形に特化しているため、扱う症例も膝、肩、足関節などがほとんど。総合病院時代とは比較にならないスピードで、知識と技術が深まっていくのを実感しました。

例えば、

  • 整形分野の疾患・外傷の知識:
    前十字靭帯(ACL)損傷、半月板損傷、腱板断裂…といった特定の疾患や外傷について、ドクターレベルとは言いませんが、その解剖から病態までを深く学ぶようになりました。「この損傷を描出するためには、どの断面で、どのシーケンスが最適か」を、解剖学的な根拠を持って考えられるようになったのは、大きな成長です。
  • ポジショニングの工夫:
    総合病院ではマニュアル通りに行いがちだったポジショニングも、クリニックでは「この患者さんの可動域なら、この角度で固定した方が、靭帯がもっとクリアに見えるはず」といったミリ単位での工夫が求められます。この細やかな技術の積み重ねが、診断の質を大きく左右することを学びました。

昨日分からなかったことが今日分かり、今日できなかったことが明日できるようになる。この密度の濃い経験こそ、私が求めていたものでした。

② 医師との距離が近く、チーム医療を実感できた

総合病院では、医師はどこか遠い存在でした。指示は電子カルテを通じて行われ、直接会話するのはカンファレンスの時くらい。しかし、クリニックでは、医師がすぐ隣にいる「チームメイト」に変わりました。

医師

「ギシコさん、この患者さんのこの部分、もう少し詳しく見たいんだけど、どう撮るのがベストかな?」
「先生、このシーケンスを追加すれば、もっと診断の助けになるかもしれません」

こんな風に、毎日顔を合わせ、撮像法について対等にディスカッションするのが日常です。「言われた画像を撮る」のではなく、「一緒に最適な診断を探す」パートナーとして働ける。この感覚は、私にとって大きなやりがいと自信を与えてくれました。

③ ワークライフバランスが劇的に改善した

結婚を機に転職を考えた私にとって、これは非常に大きなメリットでした。
総合病院時代は、不規則なシフトと、いつ鳴るか分からないオンコールで、常にどこか心と体が休まらない感覚がありました。

クリニックに転職してからは、夜勤・オンコールがなくなり、残業もほとんどゼロになりました。終業後の時間が完全に自分のものになり、仕事を忘れてリラックスできるようになりました。

この心身の余裕が、結果的に仕事への集中力を高めることにも繋がっていると感じます。将来的な子育てを考えても、この環境は大きな安心材料です。

④ 自分の裁量が大きく、意思決定がスピーディー

大組織である総合病院では、何か新しいことを始めようとすると、いくつもの会議と承認プロセスが必要でした。しかし、少人数で運営されているクリニックでは、現場の意見が非常に通りやすいです。

ギシコ

「この新しい撮像法を試してみたいのですが」
「備品の配置をこう変えれば、もっと効率が上がると思います」

といった提案が、院長に直接届き、「いいね、やってみよう!」とすぐに採用される。この風通しの良さとスピード感は、大組織にはない大きな魅力です。自分の働きかけで職場が良くなっていくのをダイレクトに感じられるため、仕事への主体性も自然と高まります。

⑤ 患者さんとの「顔の見える関係」が築ける

総合病院では、毎日たくさんの患者さんを流れ作業のように検査することも少なくありませんでした。
一方、クリニック、特に専門分野に特化したクリニックでは、同じ患者さんが何度もリハビリや経過観察で来院されます。

そのため、自然と顔と名前を覚え、「〇〇さん、その後の調子はどうですか?」「ギシコさん、今日もよろしくね」といった会話が生まれるようになります。
一人の患者さんの回復していく過程に、継続的に関われること。この「顔の見える関係」から生まれる温かいコミュニケーションは、日々の業務の大きな励みになっています。

ギシオ

ギシコがクリニックで働き始めてから、本当にイキイキしているのを感じますね。特に、自分の好きなMRIについて熱く語る時間が増えた気がします(笑)。

デメリット編:正直、ここが「大変だった・物足りない」こと4選

ここまで良いことばかりをお話ししてきましたが、もちろん、転職はバラ色の毎日というわけではありません。
「やっぱり、総合病院の方が良かったかも…」
転職したての頃、私がそう感じてしまった「ギャップ」や「デメリット」についても、正直にお話しします。

キラキラした面だけでなく、こうした現実的な側面も知っておくことが、あなたにとって最適な職場選びの、何よりの道しるべになるはずです。

① 「昇給ペース」と「福利厚生」への不安

お金の話は非常に重要なので、包み隠さずお話ししますね。
私の場合は、専門性を評価してもらえたことで、転職後の年収は前職より30万円ほどアップしました。この点においては、非常に満足しています。

しかし、それはあくまで「入職時」の話。
実際に働いてみて、長期的な視点で見た時に、総合病院(公務員)との違いからくる2つの大きな不安を感じたのも事実です。

  • 1. 昇給ペースの不透明さ
    公務員時代は、毎年決まった号俸で昇給していくため、5年後、10年後の年収が明確に予測できました。しかし、クリニックの場合は、昇給は院長の評価やクリニックの業績次第です。もちろん、頑張りが認められれば大幅なアップも期待できますが、逆に言えば、安定した昇給が保証されているわけではない、という不透明さは、将来を考えると少し不安に感じる部分です。
  • 2. 手厚い福利厚生を手放したこと
    年収の額面以上に、後からじわじと「大きかったな…」と感じたのが、福利厚生の違いです。特に、退職金の制度や、手厚い住宅手当、そして信用度の高さ(ローンの審査など)は、やはり規模の大きい組織ならではの大きなメリットでした。年収が上がったとはいえ、こうした**「目に見えない資産」**を手放したことの影響は、これから少しずつ実感していくのかもしれない、と感じています。
ギシコ

転職は、目先の年収だけでなく、5年後、10年後、そして退職後までを見据えた「生涯賃金」で考える視点も大切だと、今になって感じています。

② 「私は技師、されど雑務」という現実

「専門性を高めたい!」という想いで転職しましたが、クリニックでは専門外の業務もこなさなければなりません。
少人数で運営しているため、スタッフ全員が「何でも屋」になる必要があるのです。

例えば、受付が混雑している時の電話対応や患者さんの案内、検査着やタオルの洗濯、待合室の簡単な掃除など…。
もちろん、チームの一員として当然の助け合いですが、「放射線技師として、撮影業務に100%集中したい!」というプロ意識の強い方にとっては、こうした「雑務」がストレスに感じられる可能性は十分にあると思います。

③ 学べる領域が狭くなる「専門性のワナ」

専門性を高められることは最大のメリットですが、それは同時に、キャリアの幅が狭まるリスクと表裏一体です。
スポーツ整形外科クリニックなので、関節領域のMRIスキルは飛躍的に向上しましたが、当然ながら、脳神経外科や腹部領域といった他の分野の症例に触れる機会は全くなくなりました。

「この先、もしまた総合病院に戻りたくなったら、浦島太郎状態になってしまうんじゃないか…」
そんな不安が、時々頭をよぎることもあります。

「一つの道を極める」という覚悟が、専門クリニックで働く上では必要になるのかもしれません。

④ ワークライフバランスの「自由度」は低下した

「夜勤も残業もないなんて、最高の環境じゃないか」
そう思われるかもしれません。しかし、時間の使い方という点では、かえって自由度が低下したと感じる側面もあります。

  • 休みが自由に取りづらい現実
    総合病院時代は、スタッフの人数が多いため、比較的希望休は通りやすかったです。しかし、クリニックは放射線技師が1〜2名体制ということも珍しくありません。そのため、自分が休むと検査が止まってしまうという状況も多く、特に連休などは、かなり前から他のスタッフと調整する必要があります。
  • 厄介な「中抜け時間」の存在
    クリニックによっては、午前の診療と午後の診療の間に、2〜3時間程度の長い休憩時間、いわゆる「中抜け」が発生することがあります。自宅が近ければ一度帰ることもできますが、遠い場合は時間を持て余してしまい、結果的に拘束時間が長くなってしまうというデメリットもあります。
ギシコ

「夜勤はないけど、休みは少し取りづらい」「残業はないけど、中抜けで拘束時間は長い」といった感じで、まさに一長一短です。どちらの働き方が自分に合うか、事前にしっかり考えることが重要ですね。

総合病院とクリニック、あなたが転職するならどっち?

ここまで、私のリアルな体験談として、総合病院とクリニックの両側面をお話ししてきました。

これらを踏まえて、「結局、自分はどっちが向いているんだろう?」と悩むあなたのために、それぞれの職場がどんな人に向いているのかを、私の肌感覚の結論としてまとめます。

① 安定と成長の「総合病院」― ジェネラリストを目指す王道

私(ギシコ)がキャリアの土台を築いた総合病院。その最大の魅力は、「教育体制の充実」と「経験の幅広さ」です。

こんな人には総合病院がオススメ
  • 幅広い症例を経験し、ジェネラリストとしての土台を築きたい人
    様々なモダリティや疾患に触れられた総合病院時代の経験が、今の専門性を支える土台になっているのは間違いありません。特に若手は、まずここで広く学ぶ価値は非常に大きいです。
  • 安定した給与と、手厚い福利厚生を求める人
    年収の絶対額や退職金、各種手当といった待遇面では、やはり規模の大きい組織に分があります。長期的な安定を最優先するなら、総合病院は魅力的な選択肢です。
  • 教育体制が整った環境で、基礎からしっかり学びたい若手
    新人教育のプログラムや、多くの先輩から指導を受けられる環境は、総合病院ならではの大きなメリットです。一人で学ぶのが不安な方には、安心できる環境です。

② 専門性と自由の「クリニック」― 好きを究めるスペシャリストの道

私(ギシコ)が今、専門性を磨いているクリニック。その魅力は、「専門性」と「ワークライフバランス」、そして「主体性」です。

こんな人にはクリニックがオススメ
  • 特定の分野の専門性を、深く突き詰めたい人
    私自身、MRIの症例数と経験の密度が圧倒的に増え、短期間で専門知識が向上したと実感しています。一つのことを探究するのが好きな人には、最高の環境です。
  • ワークライフバランスを重視し、自分の時間を大切にしたい人
    夜勤やオンコールがなくなり、心身の負担が劇的に減りました。プライベートが充実することで、仕事への集中力も増すという好循環が生まれています。
  • 医師と密に連携し、チームの一員として主体的に働きたい人
    医師との距離が近く、「一緒に診断を探す」パートナーとして働けるため、言われたことをこなす以上のやりがいと責任感を求める人に向いています。

ギシコ

結局、どちらが良い・悪いという話ではありません。大切なのは、今のあなたが「何を最も重視するか」というキャリアの軸です。私の場合は、30歳を前に「専門性」と「ワークライフバランス」が最優先事項だったので、クリニックという選択がベストでした。

ギシオ

ギシコの話は、一つのリアルなモデルケースとして非常に参考になるね。もちろん、放射線技師の働き方はこの2つだけじゃない。健診センターや企業で働くという道に興味がある人は、別記事で、他の選択肢についても触れているから、ぜひ読んでみてほしい。

>>関連記事:放射線技師の転職先よる違いを紹介!転職経験者のリアルな意見とは!

【まとめ】

今回は、私のリアルな転職体験談として、総合病院とクリニックのメリット・デメリットについてお話ししました。

私の選択が、全ての人にとっての正解だとは思いません。総合病院でジェネラリストとして地域医療を支えることも、非常に尊い働き方です。

しかし、もしあなたが、今の働き方に少しでも「もどかしさ」を感じているのなら。あるいは、ライフイベントを機に、キャリアを見つめ直しているのなら。
「環境を変える」という選択肢が、あなたの人生をより豊かにする可能性があることを、ぜひ知っておいてほしいのです。

この記事が、あなたが自分自身のキャリアと向き合い、最高の一歩を踏み出すためのきっかけになれば幸いです。

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